
SPECIAL SESSION
出身企業別対談
2024年、富士フイルムメディカルと富士フイルムヘルスケアが統合を果たした。
医療ITシステムと医療機器を掛け合わせることで、
どのような強みが生まれ、どんな未来が広がっていくのか。
それぞれの企業で長年活躍してきた二人の会話から、その展望を紐解いていく。

- 西村 成一郎
- 2002年入社
ITソリューション事業部
事業推進部 部長
IT販売グループ GM
富士フイルムのヘルスケアITシステム製品の販売を、全国の支社セールス、IT専任セールスと連携しながら統括する役割を担う。製品プロモーションから顧客への納入、システム稼働後のサポートまで、一連の販売プロセスを円滑に進めるため、本部スタッフとともに日々奮闘する。

- 佐藤 慶一
- 1994年入社
営業本部
モダリティー
ソリューション事業部
事業推進部 副部長
新卒で日立メディコに入社し、日立製作所を経て、富士フイルムヘルスケアに編入。旧社では、CT・MRIなどの画像診断装置の国内販売戦略を立案し、事業を推進。現在は、モダリティーソリューション事業部で、旧社の取扱製品に加え、モダリティーソリューション製品全般の販売戦略策定と事業推進を担う。
それぞれが持っていたお互いの印象は?
時代に対する変化のスピード感と、
自分たちの機器への誇り。
- 西村
- 佐藤さんはもともと日立の出身でいらっしゃるんですよね。
- 佐藤
- はい、1994年に日立メディコに新卒で入社をしました。その後、2016年に日立製作所に編入し、2021年には画像診断部門を独立させる形で富士フイルムヘルスケアに編入して、2024年に富士フイルムメディカルと事業統合して現在に至ります。西村さんはずっと富士フイルムメディカルに?
- 西村
- いえ、実は転職で2002年に富士フイルムメディカルに中途入社していまして、前職は印刷業界で働いていました。印刷業界は写真と深いつながりがあり、そこで仕事をするうちに一瞬を切り取る画像の力にすごく興味を惹かれていったんです。そこでたまたま富士フイルムメディカルの募集をみかけて、思いきって興味のあることにチャレンジしてみようと考え、入社を決意しました。
- 佐藤
- そこから20年以上、富士フイルムメディカルに所属していらっしゃるんですね。20年前というと私の古巣でもある日立製作所時代のこともご存知だと思いますが、どのような印象を持っていましたか?
- 西村
- CTやMRI、超音波診断機器など、やはり製品力がすごく高い会社だなと思っていました。ただ、同じ領域にいながらも取り扱うものが違っていましたので、「競合」というイメージはなく、うまくお互いに棲み分けができていたのかなと思います。その印象は、富士フイルムヘルスケアになった際にも変わりありませんでした。佐藤さんにとって、富士フイルムメディカルはどういう印象でしたか。
- 佐藤
- スピードがものすごく速い会社だなと思っていました。私が新卒で入社した頃、富士フイルムといえば、文字どおりフイルムの会社でした。ですが、世の中でデジタル化が進み、物理フイルムの需要が下がってきたところで、急速にITシステムのほうに転換していきましたから。本当に10年足らずで全く違う会社になったと思いました。一方で我々はずっと機器メーカーという立ち位置でしたから、その変化のスピードには驚かされましたね。
- 西村
- ずっと機器メーカーだったということも、本当にすごいことだと思いますよ。ましてや第一線に居続けているのですから。機器に対する愛だと思うのですが、私たちと同様に富士フイルムヘルスケアに所属されていた方も、自社の製品がすごく好きなんだなと感じられる人が多いように思いますね。

統合にどんな期待感をもっていた?
お互いの強みがかけ合わさることで、
これまでになかった価値が生み出せる。
- 西村
- フィルムからITヘ急速に変化した富士フイルムメディカルと、機器をつくることに誇りを持っていた富士フイルムヘルスケアが今回統合したわけですが、どのような期待感を持っていましたか?
- 佐藤
- 統合したばかりですので、両者のよさを掛け合わせた製品の誕生はまだ少し先になりますが、まず、お客様の我々を見る目が明らかに変わったなと思いました。機器メーカーとシステムメーカーが合わさることで、どんないいものが生まれるのだろうという期待はすごく感じています。
- 西村
- もともと富士フイルムヘルスケアが持っていたCTやMRIは、富士フイルムメディカルにはないもので、その製品が加わることでお客様に提案できる幅が格段に広がりましたからね。鮮明な画像を撮影できる富士フイルムヘルスケアのCTやMRI。そこに、撮影された画像から臓器や血管・骨・病変を3D画像として可視化する富士フイルムメディカルのシステム。いわば画像の入口と出口を一緒に販売できることは、お客様にとっても大変魅力的に映っているように感じます。
- 佐藤
- その分、競合からのマークも厳しくなりますし、お客様や業界が抱える課題の解決を着実に前へ進めるためのスピードも一段上げなければならないというプレッシャーもありますが、それがまた我々の挑戦を加速させているとも思います。
- 西村
- その通りですね。また、お客様の層もそれぞれで違っており、そこもある種の強みになるのではないかと考えています。
- 佐藤
- 富士フイルムヘルスケアは中小規模のお客様が多かったことに対して、富士フイルムメディカルは大規模病院のお客様が多い。そこを考えると全方位を網羅していけそうですよね。
- 西村
- お互いの弱かった部分を補強し合い、強い部分はさらに強みを増していく。まさに理想的な統合だと言えますよね。しかし、それを実現させていくためには、お互いの歴史をリスペクトし、お互いのユーザーを大切にする、まずはそこからスタートしていくことが重要だと思っています。
- 佐藤
- そうですね。今では社内の整備も整ってきており、共通言語で話せることが増えてきたので、お互いの理解もかなり進んでいると思います。よりよいシナジーを生み出すためにもコミュニケーションをもっと強化していきたいですね。


これからの富士フイルムメディカルに
必要なものは?
AIの技術を軸に、
医療の現場をよりよく変えていく挑戦を。
- 西村
- 統合を果たしたこの先で、我々が今後特に力を入れていくべきなのは、どの分野だとお考えですか?
- 佐藤
- やはりAI技術ではないですかね。見えないものをより精密・精細に見ることができる画像診断機器は、患者さんと医療従事者の負担をより小さくすることを考えていかなければなりません。そこにAIの技術を欠かすことはできないでしょう。
- 西村
- 私もそう思います。撮影した画像には、膨大な情報の中から利用したい情報である「シグナル」と、そこから逸脱する情報である「ノイズ」に分かれますが、このノイズをAIによってしっかりと効率的に消すことができれば、より高画質につながっていきますからね。
- 佐藤
- それが可能になると撮影する時間も短くてよくなりますし、医療従事者の方が撮影された画像を読み解く読影の時間も大幅に減らすことができ、働き方の改革にもつながっていくと思います。
- 西村
- AIで正確に画像を抽出させるためには、いかに撮影機器が綺麗な画像を撮ってくれるかが鍵となります。そこは富士フイルムヘルスケアの製品力が必要不可欠です。
- 佐藤
- そうやってお互いの技術を掛け合わせることで、命を預かる医療従事者の方の負担やプレッシャーを減らしていく。統合されたからこそできることであり、やらなければならないことだと感じています。
- 西村
- また、いいものがつくれたとしても、そのあとのフォローをしっかりしていかなければ、お客様の満足度が上がることはありません。統合により拠点が多くなり、人員も増えているので、その点も強みになっていくと思います。
- 佐藤
- こうやって話をしていると、日本一ではなく、世界一も現実味を帯びてきているように思えますね。画像診断機器のグローバルマーケットは米欧メーカーの寡占状態が長く続いていましたが、そこに一石を投じて、入社以来情熱を傾けてきた製品群が「世界一」と称され、日本中、世界中の患者さんのお役に立てる未来も確信できそうです。
- 西村
- まだまだ追う立場ではありますが、その未来は必ず実現させていきたいですね。単なる足し算ではなく、お互いの強みを掛け算して、唯一無二の存在になっていければと思います。そのためにも、新しい発想は欠かせないもので、これから入社をされる方にはさまざまな意見を発し、どんどんチャレンジをしてほしいですね。
- 佐藤
- 新しい方の発想も掛け算できると、さらによい未来が広がっていくはずです。ぜひ、一緒にお客様の成功や業界全体の課題解決をして、さらにその先にいる患者様の安心をともに喜んでいければ嬉しいですね。
